【管理栄養士が解説】卵は1日何個まで?毎日食べても大丈夫?

管理栄養士がわかりやすく解説

卵の適量と健康を象徴する、殻付き卵と半分に切ったゆで卵のイラスト

「卵はコレステロールが多いから、1日1個までにした方がよい」と聞いたことはありませんか。以前はそのように言われることが多く、今も卵を2個食べるだけで心配になる人がいるかもしれません。

私自身も、昔は卵は1日1個までという考え方が広く伝えられていたと記憶しています。しかし、現在の「日本人の食事摂取基準」では、健康な人に対して「卵は1日1個まで」という一律の上限は示されていません。

だからといって、毎日何個でも自由に食べてよいという意味でもありません。卵だけを見るのではなく、その日に食べる肉、魚、乳製品、揚げ物なども含めて、脂質やエネルギーの合計を考える必要があります。

卵の適量は一つの数字で決めるのではなく、健康状態と食事全体のバランスから考えることが大切です。

この記事では、卵は1日何個まで食べられるのか、脂質やコレステロールとの関係、私がおすすめする食べ方を管理栄養士の視点から解説します。最後には、ゆで卵をおいしく食べられる「麻薬卵」の簡単レシピも紹介します。

結論:健康な人でも「必ず1日1個まで」とは限らない

現在、健康な成人が食べる卵の数について、「全員が必ず1日○個まで」とする公的な基準はありません。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」でも、食事由来のコレステロールに一律の上限量は設定されていません。

日常的な目安をあえて示すなら、健康状態に問題がなく、ほかの食事とのバランスも取れている人では、まず1日1〜2個程度から考えると献立へ取り入れやすいでしょう。日によって2個を超えることが直ちに健康被害へつながるわけではありませんが、3〜4個を毎日食べることを全員に勧められるわけでもありません。

私の感覚では、活動量や食事内容に応じて1〜4個ほどの幅で考えることもできます。ただし、これは「毎日4個を推奨する」という意味ではありません。卵を4個食べれば、卵だけで脂質が約20gになります。その日は脂身の多い肉や揚げ物を控えるなど、食事全体で調整する必要があります。

なぜ昔は「卵は1日1個まで」と言われていたの?

卵黄にはコレステロールが多く含まれます。そのため、食事からコレステロールを多く摂ると血液中のLDLコレステロールも上がるのではないかと考えられ、卵を控える意識が広まりました。

一方、現在は食事中のコレステロールが血中LDLコレステロールへ与える影響には個人差が大きく、一般的には飽和脂肪酸の影響の方が強いことが分かっています。飽和脂肪酸は、肉の脂身、鶏皮、バター、生クリーム、ラードなどに多く含まれます。

厚生労働省の情報でも、食事中のコレステロールに上限値は設けられていません。ただし、これはコレステロールを無制限に摂ってよいという意味ではないとも説明されています。

つまり、昔の「1日1個」という分かりやすい数字だけで判断するより、今は血液検査の結果や食生活全体を見て考えることが大切です。

卵1個にはどのくらいの栄養がある?

文部科学省の食品成分データベースによると、ゆでた全卵は可食部100g当たり、エネルギー134kcal、たんぱく質12.5g、脂質10.4g、コレステロール380mgです。

可食部を1個約50gとして単純計算すると、卵1個はおよそ67kcal、たんぱく質6.3g、脂質5.2g、コレステロール190mgが目安になります。卵のサイズによって実際の数値は変わるため、あくまで概算です。

  • 1個:脂質約5g、たんぱく質約6g
  • 2個:脂質約10g、たんぱく質約13g
  • 4個:脂質約21g、たんぱく質約25g

卵は少ない調理工程でたんぱく質を足せる便利な食品です。ただし、卵だけでは食物繊維やビタミンCなどを十分に摂れません。ご飯やパンなどの主食、野菜や海藻を使った副菜と組み合わせることが大切です。

脂質40〜60gを目安に考えてよい?

私が卵の数を考えるときは、1日の脂質量も一つの判断材料にしています。一般的な食生活をイメージすると、脂質40〜60g前後に収まる人は多く、卵を1〜4個の範囲で調整するという考え方は分かりやすいと思います。

ただし、公的な基準では脂質を全員一律のグラム数ではなく、1日の摂取エネルギーに占める割合で示しています。成人の脂質の目標量は、男女ともに総エネルギーの20〜30%です。

たとえば1日1,800kcalなら脂質は約40〜60g、2,000kcalなら約44〜67gが計算上の範囲です。必要なエネルギーは、年齢、性別、体格、活動量などで変わるため、「誰でも40〜60g」とは限りません。

卵を2個食べる日は約10g、4個食べる日は約20gの脂質を卵から摂る計算になります。ここへ揚げ物、菓子、脂身の多い肉、マヨネーズなどが重なると、脂質の合計は増えやすくなります。

卵の個数を数えるだけでなく、その日にほかの食品から摂る脂質まで見ることが、現実的な調整方法です。

ゆで卵がおすすめな3つの理由

1.調理油を使わずに作れる

目玉焼きやスクランブルエッグは、調理に油やバターを使うことがあります。ゆで卵なら基本的に水だけで調理できるため、卵以外の脂質を追加せずに済みます。

2.間食や朝食へ取り入れやすい

ゆで卵はあらかじめ作っておけば、殻をむくだけで食べられます。朝食にたんぱく質が少ないときや、小腹が空いたときにも取り入れやすい食品です。

3.満腹感を得やすい

私がゆで卵をおすすめする理由の一つは、食べた後の満足感を得やすいと感じるからです。噛んで食べられ、たんぱく質と脂質の両方を含むため、お菓子だけを食べるより間食の量を調整しやすくなります。

ただし、ゆで卵だけで食事を済ませるのではなく、おにぎりと野菜スープ、トーストとサラダなどを組み合わせると、食事全体のバランスを整えやすくなります。

管理栄養士SHOのおすすめ「麻薬卵」レシピ

私が個人的におすすめしたいゆで卵料理は「麻薬卵」です。刺激的な名前ですが、薬物とは関係ありません。しょうゆをベースにした香味だれへゆで卵を漬ける、韓国風の味付け卵です。「また食べたくなるほどおいしい」という意味合いでこの名前が広まりました。

しょうゆだれに漬けた麻薬卵を白い器に盛り付けた写真
ご飯や野菜と合わせやすい、しょうゆベースの麻薬卵

材料(卵4個分)

  • 卵:4個
  • 長ねぎ:1/3本
  • 玉ねぎ:1/4個
  • しょうゆ:大さじ3
  • 水:大さじ3
  • 砂糖:大さじ1
  • 白いりごま:小さじ1
  • おろしにんにく:小さじ1/2(好みで調整)
  • 輪切り唐辛子:少量(好みで省略可)

作り方

  1. 鍋に湯を沸かし、卵をお玉で静かに入れます。半熟なら8〜9分、しっかり加熱するなら11〜12分を目安にゆでます。
  2. ゆで上がった卵をすぐ冷水に取り、十分に冷ましてから殻をむきます。
  3. 長ねぎと玉ねぎをみじん切りにします。
  4. 清潔な保存容器に、しょうゆ、水、砂糖、ごま、にんにく、唐辛子を入れて混ぜ、長ねぎと玉ねぎを加えます。
  5. ゆで卵をたれへ漬け、ふたをして冷蔵庫へ入れます。途中で卵を返しながら、4時間〜一晩漬けたら完成です。

おいしく、健康的に食べるコツ

麻薬卵はご飯によく合いますが、しょうゆだれをたっぷりかけると食塩の摂取量が増えます。卵についたたれを楽しむ程度にし、容器に残ったたれをすべてご飯へかけるのは控えめにしましょう。

主食のご飯、麻薬卵、野菜やきのこの副菜、汁物を組み合わせれば、一食として整えやすくなります。汁物を付ける場合は、麻薬卵にも塩分があるため、薄味にするか量を少なめにするとよいでしょう。

保存と食中毒予防の注意

卵にはサルモネラ属菌による食中毒の可能性があります。購入後は10℃以下を目安に冷蔵し、ひびのある卵は生食を避けましょう。調理後の卵は清潔な容器で冷蔵保存し、作った麻薬卵は2〜3日を目安に早めに食べ切ってください。常温へ長時間置いたものや、におい・見た目に異変があるものは食べないようにします。

乳幼児、高齢者、妊娠中の人、免疫機能が低下している人には、卵黄まで十分に火を通した卵を使用してください。残った漬けだれは生の薬味や卵に触れているため、そのまま別の料理へ使い回さない方が安心です。

卵の量に特に注意したい人

LDLコレステロールが高い人

LDLコレステロールが高い人は、まず肉の脂身、バター、生クリームなどに多い飽和脂肪酸を摂りすぎていないか確認することが重要です。そのうえで卵や魚卵など、コレステロールの多い食品を頻繁に大量摂取している場合は見直します。

医師から食事の指示を受けている人

脂質異常症、糖尿病、心血管疾患、腎臓病などで治療中の人は、一般的な記事の個数より、医師や管理栄養士から受けている指示を優先してください。血液検査の値や服薬状況によって適切な食べ方は変わります。

卵アレルギーがある人

卵アレルギーがある場合は、自己判断で摂取量を増やさず、医師の指示に従ってください。特に子どもの食事では、加熱方法や摂取量も含めて専門家へ相談することが大切です。

卵を毎日食べるなら、ここを確認しよう

  • 卵だけでなく、肉の脂身や揚げ物などを含めて脂質量を見る
  • 卵を増やした分、ほかの主菜を重ねすぎない
  • 野菜、海藻、きのこ、豆類なども一緒に食べる
  • 調理油を増やしたくない日は、ゆで卵を選ぶ
  • 健診でLDLコレステロールが高い場合は食べ方を見直す
  • 保存温度と賞味期限を守り、割った卵を放置しない

朝食に卵を2個使った日は、昼食や夕食で肉や魚、豆腐など別の主菜を選びます。反対に、卵を食べない日があっても問題ありません。1日単位で完璧に合わせるのが難しければ、数日から1週間の食事を振り返って調整しましょう。

まとめ

卵について、昔のように「全員が必ず1日1個まで」と考える必要はありません。現在は食事中のコレステロールに一律の上限はありませんが、無制限に食べてよいという意味でもありません。

私は卵の量を1〜4個ほどの幅で考えることがありますが、普段の取り入れ方としては1〜2個を基本にし、3〜4個食べる日はほかの脂質や主菜を調整するのが現実的だと考えています。特に毎日4個を続ける場合は、血液検査の値や食事全体を確認したいところです。

調理油を使わず、満足感も得やすいゆで卵は、朝食や間食にも使いやすい選択肢です。普通のゆで卵に飽きたら、今回紹介した麻薬卵も試してみてください。

「何個まで」という数字だけに縛られず、自分の健康状態と一日の食事全体に合わせることが、卵と上手に付き合うポイントです。

参考文献